ピロートーク

やがて性愛

夜の浮浪の群に入りゆく

自分は人並みにきれい好きだとは思うが、潔癖症というわけでは全然無い。周りに自称潔癖症の人が何人かいるので、聞いたところ、多かれ少なかれこんな感じだった。


・自宅以外の便座に座りたくない
・人~他人がにぎったおにぎりは嫌
・洋服の貸し借りに抵抗有り
・温泉に抵抗あり~自宅のお風呂でも一番風呂がいい
・リップクリームの貸し借りに抵抗有り
・「一口ちょうだい」など食事に手をつける、つけられる
・電車のつり革には触りたくない
・バスタオルは家族共有では無く個別にしたい
・自分のベッドで人に寝られると嫌だ
・外に出る服と部屋着を分けたい
・ウォッシュレットは使いたくない
・寄せ鍋の直箸はされたくない
・旅館とかでのスリッパ共有が嫌だ


わたしはこの中だと「他人が素手でにぎったおにぎり」のみ抵抗がある。土井善晴先生が握ったなら別だけど。上記の項目を大きく分けると対外的・対内的の二つに分かれるのかな?
【知らない人が関わってるのは嫌だ系】か、【自分のテリトリーを守りたい系】みたいな?細分化しようとするとなかなか難しい。


わたしの友人のKさん(男性)はその中でもなかなかの潔癖症なため、上記のことは大体あてはまる。一緒に食事などしていても「ねえ これ こうやって食べようと思うんだけど大丈夫?」とめっちゃ気をつかうが、まあそれは他人と関わるってことはそういうことだよなとぐらいには思うし、それを抜きでもKさんとは仲良しのお友達なので、嫌では無い。(面倒ではある)

「じゃあ、友達の元カノと付き合うとかは平気なの?」と聞いたら「潔癖とかじゃなくてそれはなんか嫌だけど、ある程度はしょうがないよね」とのこと。まあそうよね。

「前に見たたけしの映画で、不良達が女の子を誘拐して集団レイプするのよ、みんなで代わりばんこで」「まわす、ってやつね」「そう、もちろんそれは犯罪なんだけど、それは出来るの?」

 

 

数秒間が空いて、一言。
「それは…できるね」

 


「てめぇ本物のクソヤローだな」
「冗談だって」
「全体的にもっとためらえよ このクソッタレ」
「だから、あっちゃん、これは冗談だって」 

 

 

 

とことん   とことん責めぬきながら、盛られた生ハムを箸でつついた。これは許された行為。だいたいね、こんな居酒屋で何か食べながらきれいに拘るなんてそもそも無理なのよ諦めなさい、そう言って、わたしは追加注文をした。ほらアルコール消毒じゃ、頭からかけてやろうか。やめい。やめんわい。ヘラヘラと、酔いながら。夜は汚くてとても楽しい。


<汚れたるヴィヨンの詩集をふところに夜の浮浪の群に入りゆく>山崎方代