ピロートーク

やがて性愛

2015-01-01から1年間の記事一覧

明日こそ死ぬ約束を

うまくいかないと互いに分かっている恋は情緒があっていいね。不思議とポジティブな気持になれたのは久しぶりに一緒に過ごせる夜だったからでしょうか。日ごろのめそめそが嘘のようにあっけらかんとした心持だった。 ふかふかの枕に背もたれ、布団の下では裸…

いますぐに君はこの街に放火せよ

「彼氏とドライブに出かけて、駐車場に車を停めようとしたけれど、なかなか空いているところがなかった。探した結果空いているのは、障害者優先の駐車場のみ。」さてあなたはどうする? Yahoo!知恵袋にはたくさんの常識しらずさんが居て、見ていてハラハラ…

人憎まねば立ち直れぬのか

「…忘れちゃえよ 悪い犬にかまれたと思って」「そんなこと言わないでよ 無神経ねあんたたち男ってじゃあ あんたは犬にかまれたことを忘れられるの?」 『河よりも長くゆるやかに』吉田秋生 性にまつわることを一言つぶやけば、あっというまにRTやふぁぼは稼…

われは珈琲でかた眼失くした

最近ちょっと、やばいんじゃないのと言われたときわたしはコーヒーに三杯目のミルクを入れているところだった。 えっ なにが と聞くと、いやほら、そういうところ、と手に持っているコーヒーフレッシュを指さされた。実はお砂糖もペットシュガー一本分入れて…

誰かを愛した季節が終わる

先月、親と伊勢旅行をした際にお土産物屋でお土産用ストラップを買ったら、レシートには携帯ストラップ、と記されていた。携帯ストラップ、なんだか懐かしい響きに感じた。 スマホを持ち始めてから数年が過ぎて、いつのまにか“携帯電話”を持っていた時間を超…

一瞬ひとはつむいて

皆が憎んでいるほど雨のことは嫌いじゃなかった。雨を見ているとなんだか誰かを許したくなるような、全てを包み込んであげたくなるような、諦めにも近いような、そんな穏やかな心もちになる。もちろんレジャーの日や、よりによって!というときに雨が降られ…

耳といふ薄き冷たき肉にまで

ピアスを空けて1年がたつ。 空けたての耳を「ほら」と見せると「おお」と言われた。耳たぶにはわたしの誕生石のローズクォーツがぽつんとはめこまれている。「きれいだ」「でしょ」「どうだった?痛かった?」「痛いも何もないわよ」 麻酔したもん、とわたし…

好意という香り燻りし

飲み会の帰りにふとスマホを確認すると、あの人もすぐ近くで飲み会中だということを知った。お互いに終わる時間帯が重なったので、駅で待ち合わせて少し話す。 「タバコ吸う人が、同席してたでしょう」と聞くと「自分以外は全員喫煙者だった」と言われた。 …

愛などと言はず

おみやげを渡したい、とのことだった。「どこ行ってたの」「福岡」「旅行?」「出張」「いいね、福岡は、食べ物がおいしいらしいね」 仕事後新宿で待ち合わせ、お茶を飲み、おみやげを受け取る。わたしでも聞いたことあるようなおみやげの定番お菓子が何種類…

たぶんゆめのレプリカだから

将来の夢、という言葉にはいまだにどきんとさせられる。 あらゆるものを卒業するたび、進路やら分岐点に立たされるたび、自分についての項目を思うたび、目の前につきつけられる。看護婦さん、ケーキ屋さん、作家、バレリーナ、お嫁さん…と職業立場の名詞が…

はじめからあとがきを読むような恋

「それでも女っていうのはバンドマンに抱かれる生き物なんスよ」という一文を読んで衝撃を受けた。 バンドマンに!?抱かれる!!!???? かつてはサブカルとくくられていたわたしだけれど、バンドマンに深く深く思いを寄せることはなかった。追っかけを…

大切の言葉は今も

突然の連絡。「ごはん食べに行かない?」に、ただ「いいね」と返した。 某駅にて待ち合わせをして、魚介系居酒屋に入る。お酒は飲まないで、おさしみの盛り合わせやお豆腐を分け合って食べた。いろいろあって、いろいろあり過ぎて、自然と口数が少なくなって…

白い手紙がとどいて

花が届いた。 最近の小さな体調不良や心のとげとげが、花を見ているだけでまあるくおさまっていくような気持ちになる。前回届いたときも、今みたいにちょっと不調が続いていたときだったなあと思いながら、花びらをいらってみる。 いいタイミングだなあ、と…

硝子の弾丸を撃つ

生まれて22年、平均身長平均体重中肉中背。健やかにのびのびと育ったわたしはあらゆるものを憎んでいた。 理不尽な犯罪、動物をいじめること、すぐに充電が切れる携帯電話、平気な顔してドタキャンしてくる知人。電車で空いた席を割り込んで座ったカップル。…

君のまつすぐな愛

離任式にI先生が来るとは思わなかった。女子高生たちはきゃあきゃあ驚きと喜びが混じった声でざわめいていると、檀上に立ったI先生はあいかわらずのぼそぼそした声で話し始めた。「もう一度会いたい、と思えるような女性になりなさい」 「そう思ったから僕も…

「火よ」とあなたは教えてくれる

古代、神秘、進化、生物。そういった言葉にロマンを感じる。 恐竜や、ビッグ・バンの話、人類の進化、生き物が生き物に枝分かれしていく過程の話や図を見ていると、時間がたつのを忘れてしまうほど。これは、満天の星空を見て「自分の存在や悩みがちっぽけに…

血のうすさなど誇りいたりき

血液型占いをあまりあてにしてはいけない。 A型でもずぼらなやつはいるし、B型でも他人に気をつかってばかりで損してるやつもいる。AB型なのにテンプレートな対応しかできないやつもいた。わたしはというとО型で、まあ占いは当てはまったり当てはまらな…

「さみしさに嘘はつけない」

「あっちゃんは寂しがり屋だから」と言われてたじろいだ。「えっ」さみしがりや。わたしはさみしがりや、だったのか。 ハードボイルドにクールにキめたいと思っている身としてはだいぶショッキングな言葉だった。一人で映画も散歩も買い物もできるし、一日中…

それぞれの未来があれば

昔から約束を反故されることが多かった。 「土曜日遊ぼう、電話するね」「○○しに行こう、日曜に××駅集合で」「今度の水曜日空けておいてよ、△△に連れて行ってあげるよ」 どの約束にもワクワクして楽しみにして手帳にメモする。そして電話を待つ、駅に向かう…

だからそれだけのこと

前文を省略して話すと、俳優業で生計をたてている人と仲良くなった。芸能のことはよく分からないけれど夏に全国公開される映画に出るとか、なんとかのCMではモデルもやったとか。へえー、と飲みながら話していて、やはり映画が大好きなようで、相当詳しい様…

いまさら純潔など

果物の持つ魅力は甘さとかの味覚云々よりもみずみずしさだと何より思う。 果物のことは詳しくないのだけれど産地によって糖度とか皮の硬さとか、そういう違いってあるのかしらんって考えているうちに、いつも食後のデザートの皿は空になっている。 物足りな…