君弾くピアノハ長調となる
こんにちは、お久しぶりですあつこです
ちょっと生々しいエッチな話するから、わたしと面識合ったりして、あまりそういう話聞きたくないってお方は、読まないことをおすすめします。
夏が来る前に、トレードマーク????だった????ロングヘアを切り、最近では肩につくぐらいのミディアムヘアーを楽しんでおります。
そして、久しぶりにカチューシャをつけて、ヘアアレンジができないなりにおしゃれしたつもりになっています。
先日、デートにカチューシャをつけていくと彼にとても喜ばれました。
「わっ、カチューシャだ」
「最近買ったんですよ」
「なんか、ちょっと前まではカチューシャって古くさいイメージあったけれど最近また流行っているのかな?」
「あー、でも、なんかまたつけてる子よく見ますね」
「そうなんだ、似合ってる。かわいいよ」
それから二人、ほどよくお酒をたしなんでおしゃべりに花を咲かせて、
気が付けば個室。(どことは言うまい)
さっきまで向かい合っておしゃべりしていたのに、彼はトイレから帰ってきたと同時にわたしの横に座り、チェロを抱くように背後から腕をまわしてくる。
からだ全体をこちらに向けて、お互いが向き合うようになり、ゆっくりと抱きしめられました。
そのあと、彼がわたしを見て、歯の奥の奥の方で笑い、
わたしが「あ これは 来るな」 と思うと同時にわたしの頭にあったカチューシャをとった。
女って西洋風にたとえるなら花とか砂糖菓子とか小動物とかいろいろあるけれど
やっぱり比喩のピラミッドの中でてっぺんにいるのは、天使と、プリンセスだよなあと思う。
だって両方とも、人間の形しながらも清らかで美しいんだもん。
やっぱり花や砂糖菓子では勝てない部分はあるだろうなあ。
天使には天使のわっか
プリンセスにはプリンセスのティアラ
では わたしには?
カチューシャをとりサイドボードに置く彼を見ながら、わたしは、今の自分が天使でもプリンセスでもないということを感じた。
(天使なら輪っかをとったら堕天使に、プリンセスなら普通の女の子になるのだろうか。じゃあ今わたしは何なのだろう。誰なのだろう)
そう思いながら、音もたてずに背をベッドに這わせるとハッとひらめいた。
(堕天使でも普通の女の子でもないんだろう)
(わたしはどこまでいってもわたしに過ぎない)
服を脱がされている間 何を話したかは忘れた。
けれど別に「君は僕にとって大輪のバラだよ」とか「僕のかわいい子猫ちゃん」とかの比喩を浴びていたわけではないことは覚えている。
真はだかになって受け入れようとしていると、本当に自分の名前や過去を忘れるほどになって、余計に天使でもプリンセスでもなく、わたしはただのわたしであるということを思わずにはいられない。
少女という年齢でもなし 透明感や初々しさをウリにするがらでもなし
もうただのわたしをわたしとして認めてくれる。
そんな行為ならそれは最高にロマンチックだと思う。
その後、カチューシャをしておうちに帰るとなんだか背筋がしゃんとした。
自分を受け止める 受け入れる それだけで十分なんだと今は思う。
わたしをたとえるなら花か星かそれとも何か全然別の、微生物や無機物か。
どの比喩もわたし自身には勝てない。
そう信じてみたい 夏のおわり。
〈あるがままの私ひとり受け入れて君弾くピアノハ長調となる〉小谷陽子