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ピロートーク

やがて性愛

雪よりも淡き光を

愛だの恋だの

クリスマスは、どうするのと聞いた。
ドトールはもう満席だったのでPRONTOでカウンター席に座っていた。

「今年のクリスマスって何曜日だっけ」
「平日、木曜か金曜日」
「仕事だね」
「でしょうね」


そういうこと聞きたかったんじゃなくって、と反発しそうな気持ちを抑えた。

ケーキ、チキンにシャンパン。心のこもったプレゼントとカード。BGMはWHAM!でいいよ。


ブラインド越しに外の風景を見た。
師走の休日らしく、人で溢れ返っていて、それぞれがそれぞれの用事に勤しんでいる。


「雪が降るといいね」とあっちが言った。

雪が好きなの?
そういうわけじゃないけれど
けど?
ロマンチックじゃん
たしかに


瓶型のボトルに入ったジュースみたいなカクテルを飲んでいた。
手が冷たくなったので、もぞもぞと両手をこすり合せる。
するとわたしのその様子に気づいたのか、わたしの両手をとって包んだ。

「あっちゃんには向かないね」
「どういうこと」
「寒がりだから雪は向かない」

なるほど。と包まれているうちにあったまってきたけれど、そのことについては言わず、包まれたままにしていた。

寒いのは苦手でぽかぽかしたのが好きなので確かに雪は向かない。
だからもし降るなら一緒にいてくれないと非常に困ってしまう。

雪なんて降りませんように。
ロマンチックだからよりつらくなる。
おあつらえむきの雰囲気。それらしさ。
そういうのは大好きだけれど自分の身に起きかえられないなら大嫌いだ。
そろそろ出ようか、と立ち上がりコートを羽織った。
お会計のうちの少しをわたしが出した。

駅へ向かい、わたしをホームにまで送り届けてもらった。PRONTOに入る前よりずっと寒くなってるなと思ったら、雨が降っていた。雨は夜更け過ぎに雪へと変わるだろう?お願いだから変わらないで。雨のままでいて。

あんなカクテル一杯じゃとても酔えないけれど、自分は酔ってるんだと思い込んで目をつむった。目をあけた。ゆっくりとした瞬きの間に息を吐いたら、白くのぼった。

 

なんだかんだいってクリスマス当日、わたしもあの人も、理由をつけては会わなかった。それで良かったんだと思う。

 

 

<雪よりも淡き光をまといつつ人傷つける言葉吐きいん>道浦母都子