ピロートーク

やがて性愛

花影に影を重ねて二人かな

さっぱりした好意を持ち合った関係というのは良いな、と思ってる人がいて。健全で良い友人関係を築いてこれている。


平日の仕事終わりに会うことが多くて、だいたい集合時間は19時半、解散時間は22時前。話しが合うから楽しい。もう一度言うが健全で良い友人関係。

時々は休日に会うが、二人での用事を済ませると、いつもサッサと帰ってく。「お茶でもしていこうよ」とか言っても効かない。たとえば、わたしは「15日に映画見に行こう。15時から上映だから14時に集合しよう」と言われたら基本的に15日は14時以降はフリーにしておくのだけれど、その人は違うようだ。14時から18時までしかあけずに、その前後に予定を入れることは気にならないらしい。

これは性格や休日の捉え方の違いに過ぎないから、お互いがうまいように妥協し合ったりすれば良いだけで、基本的にわたしが「まあ他の用事があるならしょうがないよね」みたいに、あちらの事情を優先させてきた。だってしょうがないじゃんね?


あるとき、ふと「たまにはわたしとも一日遊んでよ」みたいなことを言ってしまった。つい口から出てしまったのだ。こんなこと言うキャラじゃないのに、とても後悔してる。わたしのその言葉に「ちゃんと遊んでるじゃん」と返事をされた。あっ、となった。ちゃんと遊んでる。「ちゃんと」の言葉で目が覚めた。彼は、彼とわたしの間の関係における、適切な時間分は全て充ててくれているつもりなのだ。そういうことがやっと分かり、自分が恥ずかしくなった。


わたしは、彼の中のわたしという立場も彼の友情に対しての向き合い方も理解してなかったらしい。そしてわたしは彼の中にある「ちゃんと」の枠を飛び越えて、欲張ろうとしてたんだと思う。彼にそんなこと言える権利なんて最初から無かったのだ。

 

でもそれはしょうがない。わたしの怒りや寂しさが届く場所では無いし、恋人でもなけりゃ家族でもない、契約を結んでるわけでもない、ただお互いの好意のもとに成り立ってる友情だからだ。


彼のことはなんだかんだ好きなので、ここはわたしが折れる(?)し、変わることはないだろう。わたしは何度でも同じことを言うが、なぜならこれは性格や休日の捉え方の違いに過ぎないからだ。そしてわたしは彼のその考えを尊重したいと思っているからだ。そのうえで今後も良い友情を育んでいきたいと思う。(H君へ)

 

<花影に影を重ねて二人かな>黛まどか