ピロートーク

やがて性愛

2017年上半期読書記録

今シーズンは近くの図書館に通い読書に励もうと思ってましたが、映画を見る機会の方が多かったかもしれません。なので予定よりもあまり量は読めませんでした。
てなわけで良かった作品の記録です。上半期代表は3作。


①うらなり/小林信彦
夏目漱石坊っちゃん」とその後のうらなり視点の物語。ドヒェーと言いながら読んだ。まことの名作じゃコリャ。
坊っちゃん先生が他の教師をやれ赤シャツだの野だいこだのあだなを付けていたように、うらなりも坊っちゃん先生に心の中であだなを付けていた。その名も「五分刈り」。いいあだ名じゃないか。五分刈りなんてまさに坊っちゃんって感じ。あだ名は思い出せるけど本名がどうも思い出せない、とうーんうーん言うところが良い。
坊っちゃん視点だとあの話は快活だけれど、赤シャツからしたら「ああもう余計なことして!」だし、うらなりにしたら「コイツ何やってんだろう」というそれぞれの思いがあって、やっと『坊っちゃん』というストーリーに辻褄があう、って感じがした。個人的には坊っちゃんより面白かった。

 

ハックルベリーフィンの冒険/マークトゥエイン
うらなり読んだ後といったらこれ読むしかないな、と手に取った。長くてめげそうになったけど良かった。
要するに、トムソーヤーの冒険の後日にハックが黒人奴隷のジムと自由を求めて冒険するという話。
人種差別、自由、宗教、とアメリカのテーマっぽいものがてんこ盛りで凄かった。アメリカ文学史上最上の一冊と呼ばれるのも納得。
うらなりにしろ何にしろ、いわゆる『名作』の非主人公から見た話は何であんなに文学的なのは、主人公補正が無い分、心情が追いやすく、ストーリーに意味を持たせられるからかな。そんなこと考えました。最高。

 

③私一人/ローレンバコール
名女優ローレンバコールの自伝。恐ろしい記憶力だな、と思った。伴侶のハンフリーボガードが亡くなるところは史実を知ってるだけに本当につらかった。
仕事をして恋をして、傷ついたり仕事の栄光に酔ったり選択を強いられたり、女優ならではの部分もあるけど一人の女性としての生き方がもの凄い熱量で書かれてる。ハックルベリフィンの冒険もそうだけど、長い。二ヶ月ぐらいかけて読んだけど読んで良かった。そしてバコール美しい。写真集出ねえかな。

 

以上です。