ピロートーク

やがて性愛

君までのきょりわるじかん

わたしが今まで付き合ったりした人たちがそういう人達だったのか、それとも男とはそういうものなのか。比較対象が少ないからいまだに分からず、ただただ「ああそういうものなんだろうなあ」とだけ認識してること。
彼らはなぜ恋人の家に自力のみで行こうとするのだろうか。電車やバスや車ではなく、徒歩や自転車でわたしの住む家に向かわれたことが何度か向かってきた人が何人かいる。

なんとなく気持ちはわかるんだ。対わたしへの愛情の証明やアピール、対自分へのチャレンジ精神やうっとりとした気持ち、愛の確認。


会いたいなと思ったらわたしは「ねえ会いたいんだけどあなたはどうかしら。もしお互いに会いたがってるのなら、二人にとって最も良い方法を模索しませんか」と伝える。
時々は会いたがってもらいたくて、「あなたが来て」「○日の午後なら大丈夫」としか言わないこともあるけど、二人で築いた関係なので、型にはまりすぎず、二人にとって最も良い方法を探して行こうと言葉にして提案するのがわたしのやり方だ。(これがなかなか出来ない人も多いらしい)

会いたくて、愛情を示したくて、自分の力を試してみたくて、わたしは恋人の家に自力だけで行くようなことはしてこなかった。じゃあ、あなたやあなたやあなたのために何をしてきたかと考えると、おいしいケーキ屋さんやおすすめの手土産を教えてあげるとか、マフラーの色を見立てるとか、熱の時に薬飲む前に何食べたらいいかを教えるとか、そういうことばかり。

あの行為は、彼氏あるあるなのだろうか、他の女友達にも聞いてみたいし、真実を知るには彼らに「歴代彼女の家にも自力で行ったことあるの?」と聞かない限り分からない。だから分かりたい。分かり合えるようお互いに歩み寄る努力したい。疑問が生じたら、考えて考えて考えて、提案して、模索して、試してみて、より良い関係になれるようやれるだけのことをやってみる。
してあげたいこととしてみたいことは時々別で、恋やいろんな関係に疑問を打ち付けてくる。最近、わたしはわたしで、自力だけであなたの家に行くとどのくらいかかるのか、気になり始めてしまった。OKGoogle。自宅から彼の家まで、徒歩何分?もう寝よう、おやすみなさい。

 

<君までのきょりわるじかん、それははやさ。光の帯となりゆく列車>中家菜津子