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ピロートーク

やがて性愛

もう誰を好きになってもかまわない

てんびん座だからね。人間関係においてフェアーであることをわたしは望み、自分にも他人にも厳しく強いるので、友人知人、恋愛相手の皆々様には大変なご面倒をおかけしているだろう。

フェアーでありたいから、出来る限り嘘をつかないし約束を守る。互いに対等な権利を持ち合う。もし、恋人に異性の友人と遊ぶことを咎められたりでもしたら、わたしはハッキリと宣誓してしまうだろう。


「なんでわたしは男の子と遊んじゃいけないの、あなただってわたし以外の女の人とお出かけすることもあるんでしょ。それは良いのに、わたしだけ駄目なんてずるい。不公平だ。あなたが他の女の人と絶対に出かけないって誓わない限りわたしも約束なんて絶対に出来ない」


ああ、もう、かわいげが、無い!

でも、無いもんは無い!しょうがない!

 

 

その手のかわいげを持ち合わせてないからか、なかなか異性の恋愛対象内に入らない。 でも、恋愛とセックスを別と捉えているボーイズは、また別のようでわたしみたいなのでも「君、おもしろいね」といった口上で声をかけてくる。 多分、彼女にするには厄介で面倒だけれど一晩二晩くらいなら「面白」で耐えられるということなんだと思う。気持ちは分かる。


 

彼らの誘い方は恐らく定型があり、褒め言葉をかけたりアルコールを摂取させたりを、その都度、相手や雰囲気といったTPOにうまく合わせる。そうして、あわよくばナイトに持ち込もうとしている。多分。

どんなことにせよ定型があるということはそれは文化だと思う。定型に則ったスマートな誘いは、きっと美しく、相手の気分を喜ばせるだろう。わたしは定型の美しさを知っている。


ただいくらスマートで素敵な誘いだとしても、応じられない時もある。わたしもわたしで断りの定型文句として「彼氏いるから」を使う。すると、ボーイズの態度はたちまち変わった。

「彼氏いるんだwwww何年付き合ってるの?」「今日はデートじゃないんだねwwww」みたいな感じて語尾に「wwwww」がついて妙に上から目線になってきた。 「たかがあつこ」程度の女に定型で断られたのがムカつくのだろう。気持ちは分かる。彼らは他の女性にもそう断られたら同じような対応をするのだろうか。それとも、わたしがたかがあつこだからだろうか。そこは分からないが、質問は次第にエスカレートしていって「彼氏とどのくらいの頻度でエッチしてるの?」とか「アブノーマルプレイ要求されたこととかある?」といったものが投下される。

さっきまで口説いてきた人からこういった質問を受けると、『セックス出来ないなら話題でも提供しろよ』と個人の人格を認めてもらえずに、ただ“女”であるだけの生き物として扱われているようで、わたしは、なんだか悲しい気持ちになる。

質問にはテキトー言ってはぐらかしたり嘘っぱち言って会話を繋ぐことは可能だけれど、それでも、好きな人と二人で行っていることをこんなかたちで話したくは無い。 
もう「彼氏いない」と言って口説かれたほうが気持ち的にはかなり楽だ。気分が乗らなければお断りすればいい。しつこければいっそ一晩だけ一緒に過ごして今後一切の連絡を絶ってしまえばいい。

でも、どれにしろフェアーじゃないなあと思うし後ろめたさが残る。嘘をつくのも、はぐらかすのも、彼との行為をお話しするのも、口説かれてしまうのもみんな嫌だ。自分にも彼氏にもボーイズにも誠実では無い。

でも、でも、と一周二周とぐるぐる思考をめぐらせて、「あなたとのセックスを誰にも話していない」というだけのフェアーを掲げるしか、今のところ着地点は見つからない。益々に、強く生きよ、自分。アンド、数多ボーイズガールズ。

 

  <もう誰を好きになってもかまわないあなたの手から飛び立つ素足>田丸まひる