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ピロートーク

やがて性愛

モンスターズユニバーシティの話(仮タイトル)

考え事 面倒でごめんね

モンスターズ・ユニバーシティ

ディズニーピクサーの人気シリーズの最新作となって、1からファンだった私は、飛びつくように映画館へ見に行った。

絶対に面白いとは想像してはいたけれど、やはり面白い。私がアニメーションではもっとも大切であると考える会話のテンポ(“間”も含めて)が良く、聞いていてとても楽しかった。
私はアニメーションは吹き替えで見るので、字幕版で見た人とは感想が変わるのかもしれないが、笑うべき箇所できちんと笑わせることができるというのは、とても強みになる。


主人公であり一つ目の緑色のモンスターであるマイクが、「怖がらせ屋になりたい!」というたった一つの夢を持つ、映画冒頭にある少年時代のシーンがある。そこではモンスターズ・インクへの社会科見学で担任の先生から「二人一組になって!」と言われるも、マイクは誰ともペアーを組めずに一人ぼっちになり、結果的に先生とペアーを組むことになる。

現在、“スクールカースト”とも呼ばれているクラスの中での人気のピラミッド構造でいうと、マイクは確実に下のクラスの者であったことが分かる。ペアーを組む友達が居らず、夢だけを持って大学生になったマイクが、大学生になって生涯最高のペアーである、青い長毛のモンスターのマイクと出会うまでの過程と、二人が、『モンスターズインク1』の最強の怖がらせペアーになるまでの過程を描いている。

サリーとマイクは最初から仲が良かったわけではなく、大学の他の仲間と様々な困難を乗り越えた結果、仲が良くなるのだが、そこに行き着くまでの話がとても自然で違和感が無い。

大学に入学して、毎日予習復習をしっかりやって、成績トップクラスを狙っているけれど見た目が怖くないという決定的な欠点を持っているマイクと、怖がらせ屋の家系に生まれており、見た目が怖く、怖がらせることが得意というラッキー長所を持ったがために努力をせずに学園生活や授業内で横柄な態度をとっているサリー。
この対照的な二人が少しずつ打ち解けていくシーンが、とても楽しく見ることが出来た。


映画後半で、夜中に、人間界の湖のほとりでで「いくら努力をしたところで自分は怖がってもらえない」という事実に気づいたマイクが、背を向けてうなだれるシーンは感動的であった。
湖の暗さと冷たさがどうしようもなく寂しく、自分の力を信じてみたくて人間界に来てはみたが誰も怖がってくれなかった現実をつきつけられ、本当の敵とは、他のクラスメイトでも、怖がらせる対象としての人間でもなく、自分自身であると知ったときの悲しさは、モンスターでは無い人間である私にまで痛々しいほど感じられた。
うなだれるマイクの横で、サリーが座り込んで、サリーが隠していた最大の欠点である「怖がらせ屋の家系なのに自分が怖がりであること」を語る場面では、見ている側の涙を誘う。
大切なのは、自らのスクールカーストでの位置ではないとは誰もが分かっている。


しかし、マイクとサリーが所属している底辺のクラブ・チームが、学内でのトップの力を持っているクラブ・チームに当たり前のように虐げられる場面がある。
見ている私たちは「でもこれは物語だから大丈夫!最後にはみんな仲良くなってこんな差別は無くなって、マイクとサリーは優秀な怖がらせ屋コンビになるんだ!」と信じてしまうが、それは夢にしか過ぎず、学内でのピラミッド構造は崩れないまま、マイクとサリーは大学の規則を破ったため、退学処分を受けることになる。
「夢は信じれば必ず叶う!」「誰もが皆平等で、同じ夢を持つ仲間ならきっと分かり合える!」なんて無いって、私たちは本当はずっと前から気づいていたのだけれど、アニメの中でくらいは…とどこかで期待してしまっていた。

しかし、学内で、上位のチームと下位のチームがあるということは変わらないままだし、サリーもマイクも、根本的なコンプレックスは解消されないままだし、二人が力を合わせれば、怖がらせるための物凄い実力があることは誰にとっても一目瞭然なのだけれど、規則を破ったため結局は学校を追いやられる。(後に、何とかして怖がらせ屋にはなることは分かってはいるのだけれど)
物語として完成されていたら許される子ども騙しにはならずに、法というものに支配された大人世界を描いた映画であった。