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ピロートーク

やがて性愛

あたしの冬には出口がない

愛だの恋だの 考え事

好きで好きで大好きで。


バレンタインデーがあって本当に良かった。
バースデー(※わたしは10月生まれ)、ハロウィン、クリスマス、お正月……と、
あらゆるイベントにこぎつけては会いたがったり寂しがったり、それをなんとか繋ぎあわせてここまでやってきたようなものなので、もしこの寒さの極みの中、他に適当なイベントが無かったら、この恋はきっと冬を越せずに死んでしまっていただろう。

ハロウィンまでクリスマスまで年が明けたら……、と先延ばしにしていたものに目を向けさせるのは、いくら正しくたって、心においてはいじわるだ。自分の意志で目を向けていないんだから、わざわざ仕向けさせるのはやさしくない。心を傷つけずに済む一番の方法はマスメディアに乗っかって季節ごとのイベントを全力楽しみ、未来に目を向けないことであるとをわたしは既に知っている。
いじわるだったり優しくないのは、わたしは嫌いだ。

 

と言いつつも、わたしはチョコレートが大好物なので、バレンタインは普通に楽しみだった。
あらゆるデパ地下にチョコレートが第一線で売られていて、コラボ商品や限定パッケージ、有名パティシエ有名ブランドのチョコレートを大手ふって買える願ってもないチャンス。
お世話になっている人たちに贈ろうと、皆の顔を思い浮かべつつチョコレートフェアー会場を迷い歩いていたら最終的に、ある人にあげる用のチョコレートがひとつふたつみっつと増えていき、家に着く頃には四つになっていた。
さあて、と両腕を組み唸りながら考えた。

 

これがいわゆる「気持が重い」????

 

幸いにも種類がそれぞれ違っており、ゴディバのようなハイブランドチョコレートはこの中に含まれていない。しかし、そういう問題ではない。
あげるのはどれか一つだけにして、残りは自分で食べちゃえば?という甘党悪魔の声が聞こえたけれど、むなしすぎるので無視した。覚悟を決めてLINEをした。

「今度いつ会える?渡したいものがたくさんあるよ」
既読がすぐに着いて、えっなになに?と可愛いスタンプが押された。
「甘くておいしいものをたくさんあげたい」
じゃあ今度そっちに行くからそのときに時間つくって会おう、ということになった。
その日になったらわたしは紙袋いっぱいのチョコレートを持って会いに行くことになっている。

心を伝えるには、質より量がものを言わすこともある。自分にそう言い聞かせた。

大好きなんです。わたしの大好物のチョコレートたくさんあげます。そのぐらい好きです。
メディアに踊らされているなんて言わないでください。こんなイベントでもないと好きだなんてハッキリ言うこと許されない気がしちゃうんです。
3月になったらホワイトデー、その後はお花見。春にはあなたのバースデーもあります。また何かと都合つくってはこの好意を許してください。
そうすることでこの“好き”が長持ちしますように。
星に、チョコレートに、あなたに願いを。


<どの恋人もココアはバンホーテンを買いあたしの冬には出口がない>雪舟えま