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ピロートーク

やがて性愛

いますぐに君はこの街に放火せよ


「彼氏とドライブに出かけて、駐車場に車を停めようとしたけれど、なかなか空いているところがなかった。探した結果空いているのは、障害者優先の駐車場のみ。」さてあなたはどうする?


Yahoo!知恵袋にはたくさんの常識しらずさんが居て、見ていてハラハラさせられる。わたしの長所は比較的話が通じるところと常識があるところだと自分では思っているけれど、もしかしてそれは気のせいなのかもと不安になるし、わたしはまだ気づいていないだけで、トンデモな人たちはわたしのすぐ近くにも潜んでいるのかとヒヤっとする。

モラハラ上司や図々しいママ友、変な押し付けをしてくる彼氏、冗談が通じない隣人…。今迄、わたしの前に現れないでいてくれてありがとうありがとうこのままずっとどこか遠くの町で出来るだけ人に迷惑かけないで暮らしてください。コメント欄には、共感や叱咤激励、非難中傷等多種多様な意見を覗くことができて、ハハア人と人ってェのは分かり合えねえもんだっていうことだな!と清々しい。


以前、ふと見た相談にすごく印象的なものがあった。冒頭に述べたやつで、女性の投稿だった。彼氏とのドライブで、駐車場に空きがない。この話のあとに投稿者は続けた。
「そこ(障害者優先駐車場)に停めちゃおうよ、と私は言ったんですが、彼は『それはダメだよ』と停めてくれなくて、結局ずっと探し回るはめになったんです。そんな彼氏ありえないですよね!?」
もちろんコメント欄は大炎上。彼氏が正しい、女性は自己中心的だ、障害者のこと何にも考えていない…と目もあてられない様子だった。
わたし、そんな経験ない。それに自分が彼氏の立場だったらおんなじようにそこには停めなかったと思う。でも、でも、痛いほどに彼女の気持ちが分かった。
別に駐車場どうこうが言いたいんじゃない。
わたしのこと好きな人に、悪役になってほしい。
そりゃあ障害者優先の駐車スペースは、できるだけ使ってはいけないってこと分かっているけれど、二人の楽しい時間のために、更に言えばわたしのために、悪いことをひょい、としてくれたら、きっと“良い人”なんかよりもずっと嬉しい。

目の前にいない誰かや皆のための“良い人”よりも、わたしのためだけの悪い奴が欲しくなる気持ち、分かる気がした。投稿者の彼女はそんな風に考えていないかもだけれど、コメント欄の皆さんが正しいのはよく分かるけれど、そんな常識や正しさばかりを持ち込んで、好きだの嫌いだのやってらんないときはある。
世の中に悪い事や犯罪とかってたくさんある。毎日ニュースで嫌になるほど見ているけれど、だいたいのものは「だって本当に好きだったから」と言われてしまえば、わたしは納得してしまいそうになる。だって好きだったんだもん、この言葉は、強い。
恋愛のコツは二人で悪いことをするに尽きるよ。恋でありつづけるためには。愛のことは、よく知らない。

<いますぐに君はこの街に放火せよその焔のなんとうつくしからむ>前川佐美雄