ピロートーク

やがて性愛

二人夕陽の中にさまよう

こんばんは、先日無事に就職が決まりました。
やっと一安心のわたくしです。

 


この夏で愛するダーリンと付き合い始めて3年が経ち、その間いろいろなこと(といっても大したことない、幸せな日々)があったなあとしみじみ。
世にも心優しいすばらしいわたしのダーリンは一つ年上。
去年の秋か冬頃、彼の就職が決まったときわたしは、心にさざなみがたっていたことを思い出した。

就職先が千葉県の海沿いになる。今住んでいる豊島区から千葉県に引っ越すことにする、と言われ、なんとなく覚悟はしていたけれど、千葉と埼玉なんて近いじゃんと思えたけれど、遠ざかることに少し波立つ心が抑えきれなかった。

 

遠距離、なんて言ったら大げさだし。
でもいつでも会えるなんてとても言えないし。
大丈夫、かな。わたしたち。
大丈夫にしたいな。


就職決まったんだねおめでとう!の言葉の次に、自分のことばかり考えてコンビニに入ると、ユニコーンの「すばらしい日々」が流れてきた。

泣いてしまいそうになる、前に、わたしのことで泣くなよと思い自分を律した。泣かない絶対に泣かない、そう思いながらコンビニを後にした。

 

「ぼーくらはーはなればーなれーたーまーにー会ーっても話題がーない」
とりあえず駅に向かう道を歩きながら歌うと、なんかよく分からないエネルギーが溢れてくる。

【いっしょにいたいけれど とにかく時間が足りない】
【人がいないとこに行こう 休みがとれたら】
【いつの間にか僕らも 若いつもりが年をとった】
【暗い話にばかり やたら詳しくなったもんだ】
【それぞれ二人忙しく 汗かいて】

「すばらしいー日々だー力溢れーすーべてーを捨ーててぼーくは生ーきてるー」
「きーみは僕をー忘れるからーそーのーこーろーにはーすぐに君に会いにいけるー」
自分にだけ聞こえるレベルの歌声で、くちずさんだあの日。

 

絶対に泣かない、そう思ってからもう1年が経ったのかー。次はわたしが就職する番かーと思いながら、後日ダーリンとわたしの就職記念においしいごはん食べに行った。


ダーリンはなんども何度もおめでとう本当に良かったねと言ってくれて、わたしもありがとううれしいを何度も何度もくりかえした。


ああでももう大丈夫だと思った。
これからうまくいってもだめになっても、わたしはおめでとうを心から彼に言うことが出来る。
祝福さえできれば とにかく大丈夫な気がする。

ゆるやかに傾斜しつつある心をつなぎとめるのは、こういう思い出だと思う。
正直に言って、最近これからの関係とかいうものに不安を持っているのだけれど
こういう優しい記憶がまだ頭上をひゅんひゅんと掠めているからまだ大丈夫。
だめになったら
それはそのときで、後で考えます。


[恋愛にためらいというルビふりて二人夕陽の中にさまよう]小塩卓哉