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ピロートーク

やがて性愛

透明の明日へつづける路ありて

音楽を少々 考え事

チャットモンチーのギター&ボーカルの橋本さんが結婚してたことと妊娠してることを発表。
わたしは、あーってなった。


昔付き合っていた男の子が、チャットモンチーも橋本さんのことも好きで随分熱をあげていた。
わたしもチャットモンチーのファンだったし、橋本さんのことがすきだったから余計に悔しくて、つらくて、恥ずかしい話だけれどやきもちをやいていたのだった。
芸能人に嫉妬なんてするもんじゃないとは分かっていたんだけれど、どうしても、妬いていた。

今では二人体制になったけれど、当時のチャットモンチーは全員女のスリーピース。
女性バンドならもう数年したらブームが去るだろう、もしくは容貌が衰えてわたしも嫉妬しなくなるだろう。誰かが結婚出産したら解散もありえるし…、と思っていた。
ファンながらも早く解散するなりなんなりして、『伝説』になってほしかった。とりわけ、橋本さんには早く年老いてもらうか、引退するか、結婚or妊娠出産をしてわたしを嫉妬の呪縛から解いてほしかった。

いつしかわたしはその男の子とお別れをした。
チャットモンチーの曲はそこまで聞かなくなったし新曲を追いかけることもなくなった。
嫉妬をしていたことも忘れていた。
あのとき悔しくてしょうがなかった橋本さんたちと同じような年齢になっていた。
一人ドラムの高橋さんが脱退した。そのときわたしはもう既に新しい恋人と付き合っていて、ああもう悩まなくていいんだなあと思った。
そして橋本さんの妊娠が公表されて、過去のわたしはようやく救われたような気がした。
かわいそうだったあの頃のわたしはもうどこを探してもいない。わたしは今ここに居るわたし一人になった。


今なら心から応援できるだろうと思うけれど、もうあの頃のチャットモンチーじゃないから、きっとあの頃の気持ちでは応援できないだろうなとも思う。


一番好きだった、前述した男の子とお別れしたときに聞いては自分と重ねていた曲、『染まるよ』を聞き返す。

 

あなたのくれた言葉
正しくて色褪せない
でも  もう  いら  ない

 

わたしにとっても、もう、いらないなと思えた。
もうわたしは彼を思い出して泣くことは一生無いだろう。
チャットモンチーを聞きながら切なくなることも無いだろう。
もう大丈夫、すがらなくても頼らなくても、大丈夫。一人で歩いていける気がした。
もし今の恋人と別れても、『染まるよ』を聞いて自分と重ねたりせずに済む。本当の本当に歌だけを聞くことができる。


さようならあの頃のわたし。
おはよう今日からのわたし。


 〈透明の明日へつづける路ありてひそかに死者の門ひらきをり〉中山明