ピロートーク

やがて性愛

日常

「酔ってるの?あたしが誰かわかってる?」

カウンター席に並んで二人で食事をしていた時に言われた。 犬を飼いたいんだよね わたしは飼ったことこそ無いけれど、大賛成した。いいねいいね、ワンちゃんがいる生活って憧れちゃう。そう言いながら、柴犬、マルチーズ、ヨークシャーテリア、ポメラニアン…

饒舌をときにたしかな証とも

昼過ぎからのデートだったから早起きする必要がなかった。のんびりと起きて、作り置きしていたカレーをブランチとして食べて、食後にはコーヒーを飲んだ。わたしはカレーもコーヒーも大好きで、三食どころか四日間ぐらいこの組み合わせでも構わないぐらいだ…

燃ゆる夜は二度と来ぬゆえ

鍵を失くしたという連絡が入ったから、部屋の掃除がてら探してみるとベッドサイドにぽつんと落ちていた。ははあ、あの時に落としたんだな、と目星をつけ「あったよ」と伝えた。 「マーベル・コミック的なヒーローの飾りがついているやつでしょう」「そうそう…

ひとつひとつを祈りのように

先日人にお金を貸した。 これまでも千円や二千円ぐらいならサッと貸したり、友達との旅行代を一時的に立て替えるぐらいならしていたけれど、今回はなかなかの大金だ。そのお金の受け渡しに、わたしは新宿駅近くの半地下の喫茶店を指定した。 喫茶店に先に着…

雪の晴れ間を今流れゆく

祖父が急逝した。 一足先に向かった父以外の家族は、実家のある大阪へ各々現地集合した。 通夜、告別式は2日かけてスムーズに執り行われた。 初めて顔を合わせる親戚も数人居て、知らないおじいさんが、祖父との思い出話を勝手に語っていた。寛永年間の頃の…

例えばスーパーボールのような

地元の友達と喋っていて、近況報告は済んでるしお互いのことなんて知り尽くしているので他人の話になる。 誰々が警察官になったとか、大手商社の営業に転職したとか、海外で暮らしてるらしいとか、結局大学院で博士課程とってるとかあの子が結婚したとか、ま…

君の都合で決まる本当

フェチという言葉をよく見聞きするがどうも苦手だ。自分が何に興奮するかを語るのは抵抗があるし、語られると、その人と部位によっては、謎のセックス感にあてられてしまいぐったりと来る。 「あなたが好きだ。」「だからあなたの体の部位の一つ一つも愛しく…

にんげんの世なのでこんなに

「お化けより本当に怖いのは人間」みたいな発言をよく聞くけれど、わたしとしてはお化けの方がマジで怖い。だって、人間相手ならたとえば地の果てまで逃げたり警察に相談したり監獄行覚悟で相手を殺すとかの対策が練られるけれど、お化けはそうはいかない。…

稚なきわれの論理さへ

父親が出張から帰ってきたと思えば機嫌が悪いらしい。仕事から帰ってきたわたしに母はそう耳打ちした。 「話しかけても無視するし、むすっとしているから空気が悪くなるし、そのくせリビングにずっといるのよ、嫌になっちゃう」とぶつくさ言う母に「母さんや…

俺のように生きてみせろと

美味しい美味しいとムシャパク食べていたら「作り甲斐がないなあ」と言われた。気持ちは分かるが何だその言いぐさは。わたしに彦摩呂になれとでも?出された食事には2センテンス以上のコメントしないと死後神の裁きにあうとでも?と、可愛げゼロな悪態をつく…

なまぐさく口あけている夜の路地

サブちゃんの話。 大学生のとき授業が終わり、まだ日が落ちないうちに家に帰ったら家に居た母親に驚かれた。 「あら、早いわね!寄り道しなかったんだ!」と、普段バイトだデートだと寄り道しては夜遅くに帰ってくるわたしへの嫌味かしら。「まあね」と言う…

さわっちゃいけない

職場の近くに、某大学の附属男子校があるため帰る際に電車で時々居合わせてしまう。よく見る3人組がいる。多分中学の1~2年生ぐらい。詰襟に坊主頭、エナメルバッグを肩に掛けて仲良さげにスマホゲームに興じたり、じゃれ合っている。 中学や高校を卒業して…

いさめますか道ときますかさとしますか

駅前のマツキヨが閉店し予想以上の打撃を我々はくらった。母は「猫缶をこれからどこで買えばいいのか」と友人らは「ヘアースプレーが」「化粧品の試供品が」「日焼け止めクリームが」とそれぞれの生活必需品を買う場所を失ったようでおろおろしていた。 マツ…

目をつむっても菜の花の彼

「シュークリームは足がはやいから」 「だから」 「早く食べよう」 3センテンスに分けて言うほどのことかしら、とも思ったけれど「足の速いシュークリーム」って、どうしても運動会で真っ先にテープを切る、かけっこ上手なシュークリームをイメージしてしま…

これ以上大きくならぬ猫をいだき

飼いネコは年をとると、人の言葉を理解し尻尾が二つに分かれ手拭いをかぶり人の目を盗みながら踊る「猫又」になるらしい。 うちのニャンも夏には10歳になるので、 ※(彼は7月生まれのかに座のはずだ) ※(なぜ“はず”なのかというと、彼は10年前の7月の終わり…

主義なんてないから船に乗るんだよ

自己というものがぺらっぺらなので、自分ルールを持っている人に弱い。 「俺、財布はポーターって決めてるんだよね。今の壊れたらまた同じのを一生買い続けるつもり」と言われたから、なんで?と聞くと「ポーターの財布は皮がやわらかいから後ポケットに入れ…

ハイソフトキャラメル買って

わたしはキャラメルというとハイソフトが一番思入れが深い。ちびっ子の頃からやれ遠足だ旅行だとずいぶんお世話になってきた。情けないやら恥ずかしいやらで、わたしはちっとも味覚が繊細でないので(美味しい、チョーおいしい!、好きじゃない、もう食べた…

奔放無軌の母を許せよ

モットーは「嘘をつかないこと」と聞いて、生きにくそうな人だな、と思った。大学時代のバイト先の先輩で、その人は2つ年上の男性で、一年留年しているから学年は一つしか違わなかった。仕事が出来て、長身細身のモテ眼鏡に「俺は嘘だけはつかないんだよね」…

放火魔はぼくかも知れず

食券制のお店で食事をすると、とてもとても安心して食べられる。お財布にお金がいくら入っていようが、「今日はおごるよ」と事前に言われていようが、激安チェーンの食堂で食べていようが、食後にお会計をするシステムというだけでどこか緊張する。これには…

そのあとはなにもしゃべらず

わたし達ってどういう関係なんだっけ、といつも聞けずに終わる人がいる。 忙しい人らしいので(なんだか会社の中で偉い役職についているらしい)なかなかタイミングは合わないが、頑張ってスケジュールを組み立ててもらい時々仕事帰りにお会いする。食事やお…

われは珈琲でかた眼失くした

最近ちょっと、やばいんじゃないのと言われたときわたしはコーヒーに三杯目のミルクを入れているところだった。 えっ なにが と聞くと、いやほら、そういうところ、と手に持っているコーヒーフレッシュを指さされた。実はお砂糖もペットシュガー一本分入れて…

一瞬ひとはつむいて

皆が憎んでいるほど雨のことは嫌いじゃなかった。雨を見ているとなんだか誰かを許したくなるような、全てを包み込んであげたくなるような、諦めにも近いような、そんな穏やかな心もちになる。もちろんレジャーの日や、よりによって!というときに雨が降られ…

耳といふ薄き冷たき肉にまで

ピアスを空けて1年がたつ。 空けたての耳を「ほら」と見せると「おお」と言われた。耳たぶにはわたしの誕生石のローズクォーツがぽつんとはめこまれている。「きれいだ」「でしょ」「どうだった?痛かった?」「痛いも何もないわよ」 麻酔したもん、とわたし…

好意という香り燻りし

飲み会の帰りにふとスマホを確認すると、あの人もすぐ近くで飲み会中だということを知った。お互いに終わる時間帯が重なったので、駅で待ち合わせて少し話す。 「タバコ吸う人が、同席してたでしょう」と聞くと「自分以外は全員喫煙者だった」と言われた。 …

愛などと言はず

おみやげを渡したい、とのことだった。「どこ行ってたの」「福岡」「旅行?」「出張」「いいね、福岡は、食べ物がおいしいらしいね」 仕事後新宿で待ち合わせ、お茶を飲み、おみやげを受け取る。わたしでも聞いたことあるようなおみやげの定番お菓子が何種類…

白い手紙がとどいて

花が届いた。 最近の小さな体調不良や心のとげとげが、花を見ているだけでまあるくおさまっていくような気持ちになる。前回届いたときも、今みたいにちょっと不調が続いていたときだったなあと思いながら、花びらをいらってみる。 いいタイミングだなあ、と…

血のうすさなど誇りいたりき

血液型占いをあまりあてにしてはいけない。 A型でもずぼらなやつはいるし、B型でも他人に気をつかってばかりで損してるやつもいる。AB型なのにテンプレートな対応しかできないやつもいた。わたしはというとО型で、まあ占いは当てはまったり当てはまらな…

それぞれの未来があれば

昔から約束を反故されることが多かった。 「土曜日遊ぼう、電話するね」「○○しに行こう、日曜に××駅集合で」「今度の水曜日空けておいてよ、△△に連れて行ってあげるよ」 どの約束にもワクワクして楽しみにして手帳にメモする。そして電話を待つ、駅に向かう…

だからそれだけのこと

前文を省略して話すと、俳優業で生計をたてている人と仲良くなった。芸能のことはよく分からないけれど夏に全国公開される映画に出るとか、なんとかのCMではモデルもやったとか。へえー、と飲みながら話していて、やはり映画が大好きなようで、相当詳しい様…

二人夕陽の中にさまよう

こんばんは、先日無事に就職が決まりました。やっと一安心のわたくしです。 この夏で愛するダーリンと付き合い始めて3年が経ち、その間いろいろなこと(といっても大したことない、幸せな日々)があったなあとしみじみ。世にも心優しいすばらしいわたしのダ…

地動説おもへど信じがたきまで

久しぶりの日記です。 おしべとめしべがくっつくことを受粉と言い、そうして実ができる。同じように人間も精子と卵子がくっつくことを受精と言い、受精により女性は妊娠をする。これは保健の授業で教わったこと、だけれど、それが具体的な性交だと、わたしが…

午後の光のただ中にゐる

お盆の時期は実家にも帰らず、介護の実習として、特別養護老人ホームにせっせと通ってた。 実習の内容は、利用者のおじいちゃんおばあちゃんとおしゃべりをしたり、車椅子を押したり、一緒にお歌をうたったり、雑用(掃除洗濯等)をしたんだけれど実習の五日間…

二十の夏をうつくしと見ぬ

髪は長い方が好きだし、自分としては似合うと思ってる。髪色は茶色も黒も好きだけれど、黒から染めたことない。 パーマをかけたふわふわヘアーは好きだ。やわらかくて女らしくてかわいい。前に何度かかけたことあるけれど、すぐにとれちゃった。またかけたい…

泡つぶやく声こそかなし

小学生のとき国語の授業で宮澤賢治の『やまなし』をやった。そして、やまなしに出てくる"くらむぼん"とは何か?を授業で話し合った。 魚、あわ、人、めいめいの考えが出た中で先生が思い出話をしてくれた。 先生が昔みていたクラスに優秀な男の子がいた。そ…

われらかつて魚なりし頃

バイト先にいる魚にえさをやるとパクパク食いつく。その姿を見て驚いたことは、水面の辺りまで上がってえさを食べるのではなく、降ってくるえさに狙いを定めて食べることだった。たくさんの量を食べたいのなら、水槽の上へあがって捕らえるのが良かろう。そ…

かささぎの橋の架くる夜もすがら

幼稚園児の頃、七夕の笹飾りにシンデレラになりたいと書いた。白雪姫にするか迷ったけれど、白雪姫は一度死んでしまうのが怖くてやめた。死んじゃうくらいなら、ちょっと継母たちにいじめられてもお姫さまになれる方が良かった。 小学生の頃、なりたいものは…

僕は君を<冬>と名付けた

バイト先の喫茶店の常連さんに、外国人のとてもかっこいい男の人(日本語ペラペラ)が来ている。他の店員のおねえさんやお兄さんみんなこっそりと、「あの人すごくかっこいいよね」と話しているけれど、外国人に興味がないわたしとしては「あぁまあはい、そう…

ネクタイの結び目につと手をふれて

大学の文化祭はサークルで模擬店することになった。 コスプレ・非日常な服装でやることが義務と言われ、なにを 着ようか悩み、友達に相談する。 「あっちゃんならTシャツにジーンズで非日常だよね」 おっしゃるとおりでござーい。 真のラフスタイルについて…